大学入試はAIをチェックするのか?2026年度志願者が知っておくべきこと
summary:
はじめに
大学志願者も入試事務局も、静かに机の上でAIを物語に組み込んできた。
志願者はAIに書かせたエッセイが見つかってペナルティを受けるか不安だ。入試事務局は、エッセイが今まで通り志願者の声や経験を映す非公式の窓として機能するかどうかを懐疑的に見ている。
結局ほとんどの志願者が問うのは単純なことだ:大学は本当にエッセイのAIを探しているのか?正直な答えは「はい、多くの大学が何らかの形で探っている」——志願者が想像する政策やツールとは限らず、すべての大学が同じ方法で行っているわけでもない。
それが自分にとって何を意味するかを知るには、特定の大学がAIについて何を言い、実際にどんなツールやプロセスを使っているかを詳しく見る価値がある。

大学は今どうAIとAI検出器を使っているか
AIが入試に本格参入した最も明確な兆しは公開報告だ。米国の一部大学はエッセイを含む出願書類の一部をAIツールで読み、採点し始めている。Virginia Tech、Caltechなどはエッセイの読解・評価や真正性判定を支援するAIツールを導入している。University of North CarolinaもAIで志願者の作文を読んでいたと報じられて反発を買い、Georgia TechやStony Brook Universityも成績証明書の読解や奨学金候補の短縮リスト作成などでAIを試験的に活用している。
これらは単に「人か機械か」を判定する「AI検出器」ではない。エッセイ採点を支援したり、文体の変化や異常を指摘する総合的なAI読解ツールであることもある。いずれにせよ、ますます多くの大学が出願書類審査のエコシステムにAIを組み込んでいることを示している。
さらに一般的に、エンロールメント管理・教育技術関係者によると、一部の入試事務局はTurnitinのAIチェッカー、GPTZero、Originality.ai などのAI文章検出器を使ってエッセイを読み、機械生成コンテンツをフラグ付けしている。これらの検出器は既存の剽窃検出プラットフォームや入試ワークフローに組み込まれていることが多い。
しかし高等教育の中には強い反発もある。Vanderbilt大学はTurnitinのAI検出器を数か月試験した後、精度・透明性・学生への予期せぬ悪影響を懸念してツールを無効化すると公表した(Vanderbiltの公式説明を参照)。Yale、University of Maryland、West Chester University、University of Pittsburghなども公正性・精度への懸念から自動AI文章検出の使用を見送っている。
これらの例を総合すると、一部大学はAI検出・AI支援審査を歓迎し、他は積極的に撤退し、大半は中間で慎重に試験しているというニュアンスのある現実が浮かぶ。
実際の政策例:Brown、Caltech、そして「トップ30」の風景
一部大学が明確なAI政策を公表し始めている。
大学出願におけるAI政策の注目すべき分析で、私は数十の機関政策を調べ、エッセイでのAI使用を禁止する大学は少数に留まった。Brown大学はその一例で、志願者は書類のいかなる実質的部分もAIに生成させてはならない。綴り・文法チェック程度は認め、不正の疑いがある場合は申請のサンプルを検証するとしている(選択的大学のAI政策概要を参照)。
もう一つの例はCaltech。2025年秋・2026年秋入試志願者はサプリメンタルエッセイ提出前に「AIの倫理的使用」を読む必要がある。AIによる文章生成は禁止され、発覚すれば不合格または合格取消しもあり得る。一方で、明瞭化・文法修正程度のAI使用は認め、使用ツールと使用方法を開示する必要がある。
他の高選択大学では「限定使用可」が主流で、軽微な校正・構成提案・アイデア出しは認められるが、ドラフト作成・書き換え・核心ナラティブの形成は認められない。公表政策がない大学でも、作品は自身のものであることを保証させ、虚偽申告は深刻な結果を招くと警告している。
選択的機関の新たな合意はこうだ:AIは周辺で働いても、あなたの物語を書かせてはいけない。
AI検出器の仕組みと不完全さの理由
大半のAI文章検出器は、機械生成らしき統計的規則性を探す。例えば、単語・文の予測可能さ、変化の少なさ、大規模言語モデルに共通の表現を調べる。一部は「バースティネス」と呼ばれる人間らしいリズムの変動も分析する。
だが検出器には3つの大きな欠点がある。
第一に、確率で動作し証明ではない。「AI生成の可能性あり」は実際に機械が書いたとは限らない。簡潔で構造的な文体の優れたライターは頻繁にフラグ付けされ、第二言語学習者も予測可能な文体のためフラグされやすい。
第二に、機械生成テキストは簡単に手直しできる。ChatGPTで書いたエッセイに個人的詳細を加え、文構造を編集すれば検出は極めて困難になる。統計的規則性が見えにくくなるため検出器は失敗する。
第三に、短いエッセイは苦手。250語未満のサプリ回答では信頼できる判断ができない。
これらの欠点のため、多くの大学は検出器の出力を最終証拠ではなく、要警戒サインとして扱っている(Inside Higher Ed報道ではTurnitinの誤検出率の高さが指摘されている)。
エッセイがフラグされた場合の実際
エッセイがフラグ付けされても即退學とは限らない。
通常、フラグ付きエッセイは入試スタッフが再読し、個人的な記憶、反省的洞察、感覚的詳細、感情的ニュアンスなど本物の声を探す。サプリメンタル回答や短答、その他の書類と照合する。
整合性が取れていれば懸念は消える。洗練されたエッセイと急造の簡素な回答が並ぶと、入試チームはさらに調査する。
稀に大学は追加の筆記サンプルや短インタビューを要求して作者確認を行うが、検出器スコア以外に複数の赤旗がある場合に限られる。
つまり、フラグ付けは人間の再読を招き、自動的なペナルティではない。
AIを合理的に使える場面:実践表
以下は実際の大学政策に基づいた整理表である:
AIの使い方 | 大学の一般的見解 | リスクレベル | 備考 |
綴り・文法・句読点チェック | 一般的に許可 | 低 | Caltechを含む多くのトップ大学が、アイデアと言葉が本人のものであれば明示的に許可。 |
トピックブレインストーミングや検討質問生成 | 通常許可 | 低〜中 | 多くのアドバイザーが初期アイデア出しにAIを推奨するが、最終コンテンツは本人が執筆すべき。 |
文の書き換え・文体磨き・大規模パラフレーズ | しばしば推奨されない | 中〜高 | 磨きすぎると個人的な声が失われ、機械的に聞こえる。 |
段落や全文のドラフト作成にAI使用 | 選択的大学では禁止 | 高 | Brown・Caltechは明示的に禁止;虚偽申告と見なされる。 |
大部分または完全にAI生成テキストを提出 | 重大な不正と見なされる | 極高 | 発覚すれば不合格または合格取消しの対象。 |
この表は新たな規範を反映している。AIがエッセイの実質に関与すればするほどリスクは高まる。
安全に強いエッセイを書くには
AIを共同執筆者ではなく雑役として扱う。物語の核心は自分で書く。自分の記憶、実体験、感情、反省こそが、AIに疑われにくく、エッセイを魅力的にする。
AIを使うなら極めて控えめに。通常例外とされるのは文法チェックやブレインストーミング程度。自分の声を消す用途はダメ。入試官は数千のエッセイを読んでおり、実体験に基づく人間らしい文章と、よくできたが画一的な機械文体を見分けられる。
また、すべての書類を一貫させる。メインエッセイとサプリエッセイの文体がまるで別人の方が、得点違いで同じ文章を改変したように聞こえるよりマシである。
入試におけるAIの未来
AIはアプリ採点から消えることはない。一部大学はスタイルメトリクスで申請書内の執筆サンプルを比較し、声の一貫性を確認する。他はタイムドライティングを課して、プレッシャー下で整合性があるかどうかを見る。
同時に、AI使用の可否をより明示する大学が増えている。一部法科大学院ではAIの使用方法を反省するオプショナルエッセイを導入しており、対話は進化し続けている。
合図は明確だ:入試プロセスは変化し、中心は「真正性」に据えられる。
志願者にとっての意味
今後の入試サイクルでも大学はAI政策を進化させる。BrownのようにすべてのAI生成を禁止する場合もあれば、Caltechのように限定編集支援は認めてもAI執筆は禁止する場合もある。DartmouthのようにAIツールを不正検出や大量処理に流用する場合もある。
だが変わらないものがある:物語はあなた自身のもの。AIは書く手助けはできても、決してあなたの代わりになれない。ますます競争が激化する中で輝くのは、最も洗練された文章ではなく、最も人間らしいエッセイだ。

